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美しい湧き水のある村のエコツアー

2007年05月28日 大地の芸術祭以外

繭の家とは直接は関係はなく、また美術とも関係はないのですが、先日、滋賀県高島市新旭町の針江という地区のエコツアーに参加しましたので、その様子をご報告します。

この地区は、比良山系の麓の扇状地にあり、村のあちらこちらでこんこんと水が湧いています。
地下水ということで、水質は良く、年間を通じて13度に保たれています。
家々のすぐ脇には美しい流れがあり、そこには梅花藻が群生し、鮎が泳いでいます。

この地区のほとんどの古い家には、川端(かばた)と呼ばれる水場があります。
これは湧水を家の敷地に引き込んだもので、人々はここの水を煮炊きや飲料水に用い、顔を洗い、野菜を洗い、食器を洗います。
食器の汚れは、かばたに住んでいる鯉などがきれいに掃除します。
かばたは外の水路で田ともつながっているので、ナマズやヨシノボリ、鮎の姿も見られます。
昔から人々はこの水を生活用水につかっていたので、屎尿などは絶対に流さないなど、暮らしのルールがあったそうです。

ここの水を飲ませてもらったのですが、とてもおいしかったです。
村の豆腐屋さんは、このとおり豆腐をかばたで冷やしています。
夏場はスイカなどを冷やす風景が見られるそうです。

エコツアーは、地元のボランティアによって運営されています。
見学先のほとんどは、私有地であり生活空間なので、みだりに外部の人が立ち入ることは許されません。
しかし、ツアーに参加すれば、ガイド付きでいろいろな家を回ることができます。
この地区をとりあげたNHKのドキュメンタリー番組「映像詩 里山」で一躍有名になった田中三五郎さんの家にも立ち寄ることができました。
三五郎さんは、昔ながらの方法でびわ湖で漁をしている方で、今年で86歳です。
ご本人さんも2週間に一度のツアーが楽しみな様子で、かばたのことや、漁のことなどを生き生きと語ってくれました。
他の家でもおばあさんが「こんなもの昔から当たり前だったので、珍しいとも何とも思わなかったけど、外の人が皆『素晴らしいといってくれるので、嬉しくなっちゃってね』」とはにかみながら仰っていました。
なんだか、こうしたところは、大地の芸術祭でのお年寄りのコメントとよく似ていると思いました。
自分たちの地域の良さを外の人が認めてくれることは、改めて住民自身が地域を見直す機会であると同時に、心を元気にする効果があるといえるでしょう。

針江地区の清らかな流れは、川となり、すぐ近くのびわ湖に注ぎます。
湖のほとりに三五郎さんの木船がつないでありました。

来週、この「美しい日本」を見に、さるVIPがやってくるそうです。