「愛」について
(2008 井上真喜さん 「「愛」について」 A4)
・「turnstyle」に載っています。
(本文)
「愛」について
ずっとずっと、
「愛」というものは、
時間をかけて
少しずつ成長するんだと思っていた。
でも、違うんだな。
「愛」って突然に
たちまち出来上がってしまうこともあるわけ。
あぁ、びっくりした!
恋をすると
たくさん詩ができる。
私という小さな容れ物の中で
喜びと
落胆と
迷いと
妄想が
繰り返し波立ち、
泡立ち、
増幅しては沸騰する。
そのエネルギーは、
私のいたるところにヒビ割れを造り、
遂に
言葉となって吹きこぼれるのであります。
宇宙を人間の体に例えると
私は、足の親指の
つけ根あたりの細胞になるのかな。
一細胞の暮らしに要るものは、
すべて全身から運ばれてくるように
私に本当に必要なものは
何もかも、
宇宙全体から運ばれてくるに違いない。
ただし、
一細胞としての機能を
ちゃんと果たしていれば、の話。
・ノッチの結婚式にちなんで「愛」についての詩を書いてくれました。