(ワンダワダ 2008 「天然水晶の誘惑 ~その生成過程について~」 A4)
・「turnstyle」に載っています。
二酸化珪素(SiO2)は、分子配列・結合状態・不純物の違いによって石英・ガラス・水晶・岩石などのさまざまな様態を示す。なかでも水晶は、最も純度が高く、高次な分子構造(3次元網目)を持ちながら、六方晶形の結晶構造を有しており、その規則的な分子構造から圧電効果という稀有な特性を持つ。このため、水晶は水晶振動子や半導体素子などのデバイスとして用いられ、我々の身近な電化製品、たとえばクォーツ時計・パソコン・カメラの中にも使用されている。これらの人工水晶は、工業生産され、日本製がトップシェアを誇る・・・とは言うものの、実は人工水晶のほとんどが、天然水晶を高温高圧下で精製、再結晶させたものに過ぎない(それでも凄い技術には違いないのだが)・・・では天然水晶は、一体どのように形成されてきたのか?本稿は、地球科学・結晶化学・地質学などの各種文献から、天然水晶の生成に関する記述を整理し、拙いながらも試行・総括したものである。
(2008 アマルナケン 「いまさらだけどポートアイランドが好きだ」 A4)
・「turnstyle」に載っています。
夜中ゆさゆさとなびく、大通りのフェニックスの影が好きだ。パレードだ、パレードのようだ。
バナナツリーの隣に生えていそうな南国の葉っぱが大雑把で、ぜんぜん神戸に合っていなくても、それがどうした。
30年前、博覧会の旗が隊列の尻尾をまくしたてる通りに連れてこられ、世紀がかわると、島の交通プランが更新されて一本一本引き抜かれてここを離れた。神戸の裏山に行ってしまったのか、南国の海辺に里帰りしたのかわからない。
大通りを国賓のリムジンが小さな旗をつけて通ったこともあったが、ついにパレードを経験することもなく、渋滞すらしない。通りで幅広い隊列を組めるようなつくりになっていることを、時々思い出してしまう。
チャータードビルの屋上にはストライプのシーツが気持ちよくぶら下がり、ペントハウスに住むカリブの家族をうらやましく思い、コロナプールで泳いでみたいと思った。