アナホリ
・「アナホリ」というのは屋号。「ルイトモ」「ナシツブ」「メウロコ」「タナボタ」など個人名があるのだが、見た目では区別がつかない。アナホリたちもお互いニオイで個体認識している。ちなみに「ルイトモ」はバスケットボールっぽいニオイで、「ナシツブ」は古釘っぽいニオイで、「メウロコ」は髪の毛を焼いたようなニオイで、「タナボタ」は押入れっぽいニオイ。
・穴は迷路のように部屋と通路が幾重にも折り連なっている。穴の中は夏涼しく冬暖かく、しかも景観も壊さないので「究極のエコ住宅」といえる。
・穴の幅は狭い。クマが覗き込むことはあるが、冬眠に使えるほど広くない。
・穴を掘る仕事が生き甲斐で、冬以外は延々掘り続けている。穴は長く深く、一体どこまで続いているのかアナホリたち以外誰も知らない。「根の国まで続いている」「ワームホールに繋がっている」という噂まである。
・冬はアナホリ一家で囲碁大会をしている。棋譜は穴の設計図と似ているため、みんなおそろしく強い。
・みんな正直者で、嘘を無理につこうとしても、すぐに墓穴を掘ってしまう。アリバイ作りには向かない。
・トンガリが勝手に居候しても誰も嫌な顔ひとつしない。居候が増え過ぎると新しい穴を掘って、自分たちがそちらに移るお人よしぶり。
・マユビトをつかまえる落とし穴にはまった仲間も、命がけで助け出す。
・正月は毎年オイトリのために、かまくらを作ってあげている。「かまくらは、人間にとって通過儀礼的な繭なんだ」と考えている。
・トンガリが作るとんがったおむすびが大好物。とんがっていれば、とんがっているほど縁起がいいと思っている。
・穴を掘っている時に見つけた土器の破片が宝物。プリミティブな曲線の集積に、エネルギーを感じている。
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