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オオアシ

から、雪がしんしんと降っている夜に空から降りてくる。空から見た里山は、家の灯りが雪に反射して綺麗らしい。

ごく声は低いが、乙女チックで、おっとりした性格。

を見ながらとてもゆっくり話す。心拍数より遅いペースなので、怒っている人さえうっかりほのぼのしてしまう。他人の家におよばれした時も、オオアシ自身はすごく遠慮してるのに、その話し方ゆえに「オオアシさんは、変に遠慮しないところがいいわね」ってよく言われてしまう。

紙の材料となる楮(こうぞ)の皮を雪さらししていると、いつも横で一緒に日向ぼっこしている。寒さは全然平気らしく、寝てしまっていることも多い。その時もイビキではなく寝言で「ぐぅー、ぐぅー、ぐぅー」と言う天然ぶりを発揮する。

くい季節は姿を見ることができるが、雪にさらされていくうちに色が抜け落ち、春になる頃には透明になっている。それはお湯の中で繭がほどけていく様子に似ている。

ーチンワークを知らない人は、雪上に足跡だけが残る光景をまのあたりにすると、かなり驚く。オオアシ自身は透明になったからといって、不自由に思ったり、それを活かして何か悪さをしようという気はさらさらない。それどころか、みんなのために雪を踏み固める「道踏み」を黙々としている。

ユビトにしては大きな足跡なので「オオアシ」と名づけられたが、後にカンジキを履いているだけと判明した。足の大きさは他のマユビトといたって変わらない。少しくらい怒ってもよさそうなのに、 「何故自分がオオアシと呼ばれるか不思議に思っていたんだ。わかって本当によかった」とヌケたことを言っている。

のない季節は、風に飛ばされて空中を漂っている。色もその時に元に戻る。

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