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会期中の様子

2006年09月15日 1F/休憩室,資料室, 映像/繭の記憶, 桑の葉を揺らす雨, 繭人形/マユビト, 語りべ

開幕直後の繭の家。この頃はまだ、お客さんもあまり多くはなく、のんびりしていました。
奥で座っておられるのは、今回の養蚕プロジェクトで一番お世話になったご両人。
蓬平集落の区長さんと元議員の君男さん。
手前の受付机の脇には、集落の方が持ってきてくれた山百合が。
その向こうのちゃぶ台には、松之山の薬草バーからいただいた「桑酒」が。

会期中の午後は、ほぼ毎日のように集落のお母さんが会場当番に来て頂きました。
お母さんたちは、会場でお茶を沸かして、お客さんを冷茶やおつけものでもてなしてくれます。
これがお客さんには大好評。
また、お母さんたちの多くは養蚕経験者なので、お客さんに対して養蚕にまつわるお話もしてくれます。
こうして映像作品とも相まって、繭の家の1階は、生きたエコ・ミュージアムとなったのです。

床に繭を敷いているのも、地元の人のアイデア。
実はぼくが繭を大きなカゴに入れて飾っていたところ、
「そんなことしちゃ、湿気てしまうわよ、床に広げなくちゃ」とのことで、
こんな状態になりました。
そして会期終了まで、このままでの展示となりました。
しかし、結構この繭が匂いました。
繭の乾燥が不十分だったため、タンパク質特有の臭気が会場にほのかに漂います。
こうして繭の家は、視覚・聴覚・触覚に加えて臭覚にも訴えるアートとなりました。
奥にあるのは、繭のケバ取り機です。

養蚕や織りの道具も集落の方が持ち寄ってくださいました。
壁面の「まぶし」は、蚕の「入居率」が高かったものを区長さんがとっておいてくれたもの。
「きれいだから飾りゃいいと思って」とは、区長さんの弁。
白い壁は、地元産の井沢和紙です。

その翌週、会場に「回転まぶし」がつり下げられていました。
これは、蚕が上へ登る習性を利用して、均等に蚕が繭を作るようにする道具です。
蚕が上に固まって繭を張ると、その重みで回転し、新たな蚕は上方の空いた箇所に登っていくというスグレモノです。
そのようなお話を集落の方が、お客さん相手にしてくれるのが、日常風景となりました。

お花も切らせることなく、いつも綺麗に集落の花が生けられていました。
手前にさりげなく置いているのは、アーティストグッズである、CD「桑の葉を揺らす雨」。
2階の作品から流れてくる「1万匹の蚕が桑を食べる音」や、集落内の雪解けの音、鳥の声などが
蓬平産の真綿のカバーで包まれています。
結構好評で、ほぼ全て売り切れてしまいました。
(といっても、超家内制手工業で生産していたので、出荷数は80枚程度でしかありませんでしたが)


休憩コーナーに置いたコカ氏作の繭人形と、観察帳。
繭人形は、とても人気があって、これ売ってないのですかという質問が多かったです。

会期終盤には、お隣のおじいさんがこへび隊にあてた歌を色紙に書いて持ってきて下さいました。

コメント

広げた繭とそのインパクトのあるニオイが、「繭の家」にとって大きなプラスになったのではないかと思っています。

そうですね。
いろんなブログの写真をみていても、作品本体よりも、1階の繭の写真の紹介が多いくらいで。(笑)

1Fの心温まるお茶とお漬物のもてなし、綺麗な繭、くさいそのニオイが、かなりストイックな作品にプラスになっていると思います。2つはコインの表裏のように切っても切り離せない関係だと思います。

「美人林」や「脱皮する家」のように、多くの参加者の手油を感じさせる部分に共感を得ながら見てまわっている人にとって、緊張を与える作品(急な階段+暗い部屋+怪しい音+びっくりする仕掛けなど)を見て、1Fの「繭Cafe(勝手に命名)」で緩和して、繭の多さやニオイや地元の人の話に手油を感じるのではないでしょうか。作品をひきたてるために「なごみスペース」を意図的に作ったとしても、家をどれだけ補修しても、建物内に入れる状態で「当たり前」と思われるでしょうし、額と同じで作品としては捨象されるでしょうし。

またブログのように、短く文章をまとめる場合はどうしても情に訴えるものを選ぶのではないでしょうか。

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