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大阪アートカレイドスコープ 1

2007年03月06日 大地の芸術祭以外

「大大阪(だいおおさか)に会いたい」をテーマに、大阪アートカレイト”スコープが開催されています。
第4回となる今回は、あのF.北川氏をプロデューサー迎えての新展開です。
「だいおおさか」とは、大正末期頃、一時人口が東京を上回った大阪の謂いで、その名残である近代建築を巡りながらそこにアート作品を展開するというものです。
Fさんの発案だけあって、越後妻有の都市版という感じもしなくはないですね。
今日は、淀屋橋~本町~北浜~肥後橋~梅田と歩き回って、10地点を見てきました。
まずは淀屋橋の芝川ビルです。

前からこのビルの前はよく通りがかっていて、気になっていたのですが、ここが会場に選ばれていました。
入ってみると、いきなりエントランスの郵便受けに、少し不機嫌そうなこどもの石膏像がヤンキー座りをして出迎えてくれました。
作者は山崎龍一さん。タイトルは「怒っています」。

ビル内のトイレ(取り壊し中)にも、こどもが。タイトルは「近寄らないで」。
このほかにもビルの意外な場所にこうしたこどもが潜んでいました。
ちょっとひねくれた子どもですが、とても可愛い。
個人的には奈良美智の初期作品にも通じるものがありますが、私はこの作品の方が好きです。

このビルは1927年の建造で、女学校を卒業した「いとはん」が、洋裁・和裁、料理を学びに通う花嫁学校だったそうです。
今回は、ちょうどレストランに改装中の空間が作品展示に提供されており、そこには着物の端切れを用いたインスタレーション(石塚沙矢香/「いとはん」)などが展示されていました。

これは大阪証券取引所のホールにあるフェリチェ・ヴァリーニの作品。
ある一点から見ると、室内の模様が幾何学形を成します。

このほかにも、吹き抜けが気持ちいい船場ビル(淡路町)、壮麗なルネサンス空間の綿業会館(備後町)、ネオロマネスク様式のオフィスビルであるダイビル(中之島)など、建物はすごくよかったです。
ただ、今日見た中では先述の芝川ビルは作品に提供されたスペースが十分で作品とも響きあっていましたが、
他では建築が素晴らしすぎて、ちょっとアーティスト側に分が悪いかなという感じでした。

綿業会館。この空間で作品をみたかったです。

ダイビルのエレベーターホール。この横の「大阪名品喫茶・大大阪」が展示場所でした。
このビルは2009年に解体されるのですが、この喫茶店はそれまでの期間限定開業で、大阪の近代建築に関する本が置かれていました。

今日、最後に見たのがヨドバシカメラ西のナレッジキャピタル予定地の塀にあった作品群です。
これがとても面白かった。

この作品は屋外にある必要性は余り感じませんでしたが、道ばたで一人、笑いをこらえるのに必死でした。

以上、今日見た限りで感じたことは、都市の中枢部ではアートが画廊以外の場所で成立するのはなかなか大変だという事実です。
越後妻有では、使われなくなった古民家や、耕作されなくなった棚田などが作品の舞台となりましたが、都心ではそういう遊休地は少なく、土地やビル内のスペースは、くまなく金額換算され、アートに使う以前に他に有効活用されてしまうのが通常です。
芝川ビルは、たまたま改装予定だったフロアを改装延期してれたそうですが、よほど理解のあるオーナーに恵まれない限り、良い場所はおさえられないなあと思いました。
調整に当たった関係者の方々のご苦労もさぞや大変だったことでしょう。
でも、近代建築を使うというこの路線、定着させて欲しいような気がします。
もっと他にも魅力的な場所が、この町にはありそうなので。
また、神戸でもそのようなことをやるべきではないでしょうか。

コメント

また奇遇ですね。僕も昨日少し回りました。
あまり時間が割けなかったので、建築目的の3箇所(児玉ビル、船場ビル、中央電気倶楽部)のみです。

作品については僕も展示スペースが限られていて、見応えがないという印象でした。

できれば、あと芝川ビルと府庁を回りたいと思っていますが、北ヤードの看板もおもしろそうですね。

本当にいつも重なりますね。
今回のイベントは,noliさん向けの企画かなと思いつつ、適当に紹介してしまいました。また建築については専門的な観点から、そちらでご紹介頂ければ嬉しいです。
なお、中央電気クラブでは建物内部で写真を撮ると「総務を通してくれ」と注意されてしまいました。
芝川ビルでは、同ビルについての冊子が600円で売られていました。

芝蘭社家政学院には妻の祖母が通っていました。教えにも行ってたそうです。

「こんなイベントをしているよ」と教えてあげなくてはいけません。

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