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繭の家 養蚕プロジェクト

2011年02月12日 1F/休憩室,資料室, 2F/作品展示室, 夜半の雨音, 映像/繭の記憶, 空に放つ, 蓬平「繭の家」, 語りべ, 雲の切れ間から

会期中の様子

2006年09月15日 1F/休憩室,資料室, 映像/繭の記憶, 桑の葉を揺らす雨, 繭人形/マユビト, 語りべ

開幕直後の繭の家。この頃はまだ、お客さんもあまり多くはなく、のんびりしていました。
奥で座っておられるのは、今回の養蚕プロジェクトで一番お世話になったご両人。
蓬平集落の区長さんと元議員の君男さん。
手前の受付机の脇には、集落の方が持ってきてくれた山百合が。
その向こうのちゃぶ台には、松之山の薬草バーからいただいた「桑酒」が。

会期中の午後は、ほぼ毎日のように集落のお母さんが会場当番に来て頂きました。
お母さんたちは、会場でお茶を沸かして、お客さんを冷茶やおつけものでもてなしてくれます。
これがお客さんには大好評。
また、お母さんたちの多くは養蚕経験者なので、お客さんに対して養蚕にまつわるお話もしてくれます。
こうして映像作品とも相まって、繭の家の1階は、生きたエコ・ミュージアムとなったのです。

床に繭を敷いているのも、地元の人のアイデア。
実はぼくが繭を大きなカゴに入れて飾っていたところ、
「そんなことしちゃ、湿気てしまうわよ、床に広げなくちゃ」とのことで、
こんな状態になりました。
そして会期終了まで、このままでの展示となりました。
しかし、結構この繭が匂いました。
繭の乾燥が不十分だったため、タンパク質特有の臭気が会場にほのかに漂います。
こうして繭の家は、視覚・聴覚・触覚に加えて臭覚にも訴えるアートとなりました。
奥にあるのは、繭のケバ取り機です。

養蚕や織りの道具も集落の方が持ち寄ってくださいました。
壁面の「まぶし」は、蚕の「入居率」が高かったものを区長さんがとっておいてくれたもの。
「きれいだから飾りゃいいと思って」とは、区長さんの弁。
白い壁は、地元産の井沢和紙です。

その翌週、会場に「回転まぶし」がつり下げられていました。
これは、蚕が上へ登る習性を利用して、均等に蚕が繭を作るようにする道具です。
蚕が上に固まって繭を張ると、その重みで回転し、新たな蚕は上方の空いた箇所に登っていくというスグレモノです。
そのようなお話を集落の方が、お客さん相手にしてくれるのが、日常風景となりました。

お花も切らせることなく、いつも綺麗に集落の花が生けられていました。
手前にさりげなく置いているのは、アーティストグッズである、CD「桑の葉を揺らす雨」。
2階の作品から流れてくる「1万匹の蚕が桑を食べる音」や、集落内の雪解けの音、鳥の声などが
蓬平産の真綿のカバーで包まれています。
結構好評で、ほぼ全て売り切れてしまいました。
(といっても、超家内制手工業で生産していたので、出荷数は80枚程度でしかありませんでしたが)


休憩コーナーに置いたコカ氏作の繭人形と、観察帳。
繭人形は、とても人気があって、これ売ってないのですかという質問が多かったです。

会期終盤には、お隣のおじいさんがこへび隊にあてた歌を色紙に書いて持ってきて下さいました。

ついに開幕!!(7月23日)

2006年08月01日 古民家再生, 夜半の雨音, 映像/繭の記憶, 空に放つ, 蓬平の人々, 語りべ, 雲の切れ間から

開幕の朝。
映像用モニターのマニュアルを書くイノマキさん。
このあと、ぼくはばたばたと十日町での開幕式に出席しましたが、カメラを持っていくのを忘れ、その様子は残念ながら紹介できません。
(奥に見えるモニターとDVDプレーヤーは松下電器産業(株)様からお借りしています。)

開会式に出席していた海外招待客の一行が、早速立ち寄ってくれて、びっくり!!

お客さんはひっきりなしに来られます。
こんな里山の一軒家なのに、今まで都会で発表していたとき以上に人が訪れます。
なお、土間はなかなか乾きませんでしたが、なんとかこのとおり、いい感じに完成しました。

さて、肝心の作品を紹介しましょう。
まずは、作品A「夜半の雨音」。
大箱から、この夏イノマキさんが集会所で録音してくれた「蚕が桑の葉を食べる音」が流れます。
その音に合わせて、背後の「まぶし」に入った2400個の繭が明滅します。
明かりは2系統あって、互い違いに並べているため、明滅のずれがあり、光る様子が市松模様に見えるときも。
天井や梁が、このオレンジ色に照らし出されて、美しいです。

作品B「雲の切れ間から」の小箱。
大箱と対をなします。

小箱を開けたところ。
なんだ、これは。
中を覗くことが出来ますが、ここでは紹介は出来ません。写真ではうまく撮れないのです。

意外と人気がある作品C「空に放つ」。
夜中まで一緒に吊してくれたYさん、ありがとう。

「繭の家」の看板を集落の方に書いて頂きました。
こどもたちもはしゃいでいます。

看板がついた「繭の家」。手前にある黄色いサインが目印です。

GW妻有壁塗りツアー

2006年05月05日 古民家再生, 映像/繭の記憶, 里山のくらし

5月2・3・4日にわたって、古民家の展示空間の整備を行いました。
初日の妻有は、寒かったです。夕方到着時の気温は5度。
翌日搬入される壁土のスペースを確保するため、着いていきなり雪かきをしなければなりませんでした。

本格的な作業は、3日の朝7時半から。
まず、新潟県内の土建屋さんから壁土を搬入してもらいました。
2トントラックいっぱいの土です。(ただし多すぎて余ってしまいました。)

室内作業では、まず枠に「ちりとんぼ」(麻紐を釘で留めたもの。壁の収縮対策)を打ち、石膏ラスボードの壁面に、下地材(プラスター)を塗りつけます。

40平米の壁面に、ひたすら下地+土壁を塗る作業は、大変ハードなものでした。
みんな腕がパンパンになりました。
頃合いを見て古民家のすぐ裏手で、お昼やおやつタイムをとりました。
残雪の棚田がとても美しいところでした。(蓬平集落の隠れた絶景ポイントのひとつです。)

作品C(テグスで吊した繭の連なり)採光用のスリット窓周りの土壁を塗ったところ。
表面は、それらしく藁をまぶしています。
壁ぬり作業は、4日の午前いっぱいかかりました。
時々、となりのおじいちゃんが様子を覗きに来てくれて、ものすごい鏝捌きを披露してくれました。
(みんなで「師匠」とよばせていただきました。)

古民家の外観はこうなっています。
前回まで窓だったところは、細いスリット状の採光窓のみを残し、ふさぎました。
3日、4日と急速に暖かくなり、雪も一気に溶け出しました。

室内内壁はこれでほぼ完成状態です。
細い採光窓を2カ所のみ残しました。

撮影・録音作業も平行して、じっくり行いました。
二人組で集落の各所をまわり、春らしい絵・音を撮りました。
写真は、蓬平集落の雲海の様子。
朝4時半起きした甲斐がありました。
どのような映像が出来上がるか、楽しみです。

最後に春らしい写真を2点。
妻有では、ようやく桜が満開になりつつありました。

これはお弁当を食べた眺望スポットの夕景です。

今回は、本当にたくさんの方にお世話になりました。
みなさん、遠路はるばる有り難うございました。
(ただし、プロジェクトは、これからもまだまだ続きます・・・)

残雪の妻有/作品撮影

2006年04月24日 映像/繭の記憶, 空に放つ


約20日ぶりに妻有を訪れました。
前回(4/1)は、まだまだ雪深かったのですが、
今回は急速に雪がなくなっていました。
古民家にもついに1階の玄関から入れるようになりました!


作品Cは、映像作品中に登場させますが、今回の主目的はその撮影でした。
そのため、展示空間の窓をふさぐ前に、明け方の光で撮影をすることに。
朝3時45分に起床し、4時過ぎには撮影を開始しました。


今回の撮影には、強力な助っ人に参加していただきました。
プロのカメラマンのSさんです。
景色と一緒に撮ったり、接近したり、上から覗いたりして、様々なアングルを試しました。
演出効果として、1階で線香を焚き、2階の展示空間へ煙を引き入れました。


1階はこんな様子でした。


O木さんが、梁に登って、作品を操作します。
うまく揺らすと、作品が波のように美しい揺らぎをつくりだしました。
映像の素材として、たいへん満足のいくものを撮ることが出来ました。


すっかり梁の上が気に入ってしまった(?)O木さん。
時折撮影の要望を出すイノマキさん。
そして凄腕カメラマンのSさん。
皆さん、有り難うございました!


妻有の春を少々紹介します。
雪解けの草原にはいたるところでツクシが顔を出していました。
ホント、あたり一面、つくしだらけでした。


これは、猩々袴(ショウジョウバカマ)という可憐な野草です。
区長さんの家の裏の土手に普通に群生していました。

まさに日本一の豪雪地帯

2006年02月02日 映像/繭の記憶, 里山のくらし

今年初めて妻有に行きました。
前回行ったのは雪が降り始めた12月10日でしたが、その後、ご承知のようにこの地方を記録的な大雪が襲いました。
1月28日時点では、多少落ち着いたとはいえ、まだまだすごい雪の量でした。
街や人のサイズに対して、縮尺が間違っているのではないかと思えるくらいの分厚い雪が、あたり一帯を覆っていました。
写真は蓬平集落。

初日は、現場となる古民家を訪ねましたが、ご覧のような状態でした。
普段の進入路からは入れなかったので、隣のお宅の敷地を伝ってたどり着き、2階の窓から家の中に入りました。
屋根は自然落下型なので雪下ろしは基本的に不要ですが、滑り落ちた雪のせいで玄関の軒先が壊れていました。

2日目は、快晴でした。
いつもはぼくと、こへび隊のOさんの二人で行っている集落訪問ですが、今回は新たに映像のエキスパートのイノマキさんにチームに加わって頂きました。
3人で、蓬平集落の家々をまわりました。

この日は、集落の中で一番最近まで機を織っていたというM兵衛さんの奥さんを訪ねました。
「昔は、ほぼ100%の家が蚕を飼っていたよ」
「蚕は『ぼぼさま』と呼んで、こどものように大切にしていたよ」
「でも、においが苦手だった」
「蚕が桑の葉を食べる音が雨のように聞こえたよ」
コタツに入ってお茶うけの総菜(もちろん自家製)をいただきながら、ご夫婦からそんなお話を伺いました。

奥さんが花嫁の時に着ていたキモノも見せて頂きました。
もちろん、蓬平産の糸で織ったキモノです。
そのほか、生糸や紬もありました。
これは、大箱の展示ケースに組み入れたいなと思いました。
緑色のものは、「わたこ」です。
これは真綿を薄くのばして重ねたもので、肩にかけるとすごく暖かいのです。

M兵衛さんのお宅は、谷間を挟んでちょうど現場の古民家の反対側にありました。
玄関先から、現場が見えます。(一番上の家がそうです。)
日の光が差すと、本当に雪景色が美しく、思わず見とれてしまいましたが、雪国ではそんなのんきなことは言っていられないのが現実です。
また大雪が降らないかどうかが心配です。
地元の方によると、「赤い雪」が降ると、雪も終わりに近づくそうです。