古巻です。1ヶ月ぶりに蓬平を訪問しました。
こちらでは梅雨に入ったものの、あまり雨が降っていないそうです。
今年は雪が少なかったこともあり、河のない蓬平の米作りに影響が出てくることは確実なようで、たいへん心配です。
この週末もはっきりしない天候でしたが、結局あまりまとまった雨は降りませんでした。
いつもお世話になっているキヨシさんも「自然が相手だから仕方ねえや」と浮かぬ表情でした。
今回の作業は、栃木県から夜間工房のワンダワダさんの応援を得て、床塗りをメインに行いました。
かねてより繭の家の2階の床板がギシギシきしむので補修するべしとの声があり、今回ようやく2階の展示スペース(約70㎡)前面に新たに杉板を敷くことができました。
ただし、新品の杉板のままでは古民家の雰囲気にそぐわないので、今回の床塗り作業となりました。
写真は、墨を床にすりこむワンダワダさん。
いつも繭の家の作業を覗きに来てくれる地元の小学生・ミキオくんも作業を手伝ってくれました。
ありがとう。
おかげさまで作業は順調に進み、床は張り替えたのが分からないほどの風合いに仕上がりました。
また、作品C「空に放つ」(再制作分)も同時にセッティングも行いました。
他の作品のスタンバイも行い、いつでも公開可能な状態にこぎつけることが出来ました。
(あとは映像作品用のテレビの修理を待つのみ)
今回は、工事の木くずなどの掃除があったので、ワンダワダさんの助けがあって本当に助かりました。
繭グッズの制作をお願いしているキヨミさんのお宅を訪問しました。
パッケージに入れられて整然と並ぶマユビトを発見。まるでアンドロ軍団みたいです。
ここでキヨミさんにマユビトをいくつかお借りして、作業の合間に撮影を行いました。
繭の家の裏手の里山をバックにこんな感じでマユビトを撮影しました。
この写真は、今後、芸術祭のグッズカタログや繭の家のチラシ用に用いるつもりです。
(単体でもポストカードかポスターにできそうですね。上の方に気の利いたキャッチコピーを入れたりして)
あわせて、繭の家の1階にあった掘り炬燵の台にガラス板をのせて、グッズ等の展示コーナーを設けました。
ガラスを敷いたら、多少は見栄えがよくなりそうです。
繰り返し申しますが、繭グッズの販売は、プロジェクトの行方を左右する大切な事業なので、ぜひとも売れて欲しいと思っています。
この時期、あちこちの桑の木に赤や黒の実がついていました。
桑の実は旬の時期がとても短いです。(1-2週間)
もったいないので、手当たり次第に摘んでは食べていました。おいしかったです。
ワンダワダさんと一緒に宿泊した三省ハウスでは、他の人にもお裾分けしました。
なお、写真はありませんが、今回、繭の家で蓬平の青年会の方と会合をもち、今後、このブログをお手伝いいただけることになりました。
というのも、私だけでは、現地に行ける回数が限られているので、地元の方から現地の日々の情報を発信して頂ければ、このブログもライブ感が出るだろうし、きめ細かい対応もできるのではないかと思ったわけです。
そのうち、現地での普段の動きとか、季節の便り(?)などについて、私以外の方による更新が出てきますが、どうぞよろしくお願いします。
私もこれまでのようなペースで更新をしていくつもりです。
前にも書きましたが、繭の家の2階の作品Cをまるまる再制作します。
2006年に制作した作品C「空に放つ」(下の写真)は、2005年に蓬平で生産した繭を使用しており、さすがにカビや黄ばみが目立ってきました。
2009年の芸術祭では、純白の繭を来場者にお見せしたいので、全て交換することとしました。
前回は、繭の中にサナギを入れたまま針とテグスで吊っていましたが、今回はサナギを全て取り出して、代わりに中に薬剤を入れています。
これでカビやシミを多少は防げると思います。
再制作に当たっては前回用いた型紙(原寸大)を使おうと思ったのですが、なぜか見つからないので、もう一度型紙から作り直しました。
作品の再制作ということをするのは、実は初めてです。
やはり最初の制作に比べると、ドキドキ感が少ないことは否めません。
でも、ひと夏で5千人以上の方が見てくれるので、しっかり維持しないといけないです。
伊勢神宮は20年ごとに建て替えられ、絶えず新しい姿を保っていますが、それに習うつもりで再制作を進めます。
開幕の朝。
映像用モニターのマニュアルを書くイノマキさん。
このあと、ぼくはばたばたと十日町での開幕式に出席しましたが、カメラを持っていくのを忘れ、その様子は残念ながら紹介できません。
(奥に見えるモニターとDVDプレーヤーは松下電器産業(株)様からお借りしています。)
開会式に出席していた海外招待客の一行が、早速立ち寄ってくれて、びっくり!!
お客さんはひっきりなしに来られます。
こんな里山の一軒家なのに、今まで都会で発表していたとき以上に人が訪れます。
なお、土間はなかなか乾きませんでしたが、なんとかこのとおり、いい感じに完成しました。
さて、肝心の作品を紹介しましょう。
まずは、作品A「夜半の雨音」。
大箱から、この夏イノマキさんが集会所で録音してくれた「蚕が桑の葉を食べる音」が流れます。
その音に合わせて、背後の「まぶし」に入った2400個の繭が明滅します。
明かりは2系統あって、互い違いに並べているため、明滅のずれがあり、光る様子が市松模様に見えるときも。
天井や梁が、このオレンジ色に照らし出されて、美しいです。
作品B「雲の切れ間から」の小箱。
大箱と対をなします。
小箱を開けたところ。
なんだ、これは。
中を覗くことが出来ますが、ここでは紹介は出来ません。写真ではうまく撮れないのです。
意外と人気がある作品C「空に放つ」。
夜中まで一緒に吊してくれたYさん、ありがとう。
「繭の家」の看板を集落の方に書いて頂きました。
こどもたちもはしゃいでいます。
看板がついた「繭の家」。手前にある黄色いサインが目印です。
今回、「まぶし」を現地搬入しました。
これは、LEDを取り付ける前に、4つ並べて壁面に設置したもの。
「まぶし」の裏側からLEDを通します。
夜中までかかって一気に2400個装着しました。
気がつけば、親指に穴が開いていた・・・。
明かりをつけたところ。
実際には、このLEDひとつひとつに繭をかぶせます。
LEDを装着すると重くなってしまったので、今回は壁に設置するのは止めました。
次回は取り付け金具を用意します。
このほか、1階のジオラマを覗き見る「小箱」の現場確認をしました。
スチロール板でサンプルを作り、大きさなどを確かめます。
当初の予定より小さなものになりそうです。
小箱は、正面の細いスリット窓からの光で存在が浮かび上がります。
小箱サンプルのクローズアップ。
ここから下のジオラマを覗き見ることになります。
作業2日目も、こへびのお二人が来てくれました。
この日も床そうじ、柱の釘抜きなどで活躍いただきました。
きれいになった2階の床。
この日から2階は土足禁止になりました。
問題が一つ。
1階の床は、汚れた畳を外して、板の間にしようと考えていますが、床材の継ぎ目に貼られたガムテープを剥がすと、べったりと赤い糊が。
サンドペーパーで削ってもなかなか落ちません。
今度、テープの糊剥がし液をもっていって試してみます。
もうひとつ考えたいのが、屋根裏からでてきた煤竹。
煤をぬぐうと、こんなに美しい飴色の竹になります。
なんとかして内装に使えないかな・・・?
最後にまた植物の写真です。
前回、つくしが茫々だったところは、辺り一面トクサの海に変わっていました。
5月27日、28日と妻有を訪れました。
その様子を2回に分けて報告します。
蓬平の里は、まだほんの少し雪も残っていましたが、連休中より、はっきりと緑が濃くなっているのが分かりました。
作品現場の古民家の前庭にも桑の木がありました。
最近まで雪が残っていたせいで、まだまだ葉が小さいです。
でも、養蚕をしていただける方に伺うと、6月上旬に蚕が届いても大丈夫だろうとのことでした。
さて、前回塗った土壁ですが、剥落もせず、きれいに乾いていました。
但し、もともとあった土壁との色の違いは明白でした。
(もともとあった土壁は、すすけて真っ黒なのです)
というわけで、少々もったいないのですが、新しい土壁を黒っぽく塗ることにしました。
今回、お手伝い頂いたのは、こへび隊のSさんとNさんでした。
普段は、それぞれ経済学と美術を学んでいるというお二人ですが、この両日は、きつくてきたない現場仕事をてきぱきとこなしていただきました。
ありがとうございました。
塗りおえた壁面。(翌日になって、乾いたところ)
思いの外、土壁の吸い込みが激しく、途中で塗料(柿渋、墨等)が底をついてしまい、ちょっと中途半端なまま作業を終えました。
濃淡にムラがあるので、もう一度仕上げ塗りが必要かも知れません。
ただし、室内の蛍光灯を消して、本番と同じように窓の光だけにすると、壁の色ムラは全く肉眼では見えません。
お昼ご飯は、近くの絶景ポイントで。
雪囲い塀用の板は、ちょうどよいベンチ代わりになります。
ここの棚田も大変きれいでした。
田は、水が張られ、小さな苗が植えられていました。
斜面の至る所で、緑が芽吹いていました。
天高く昇ろうとする、ぜんまい。
約20日ぶりに妻有を訪れました。
前回(4/1)は、まだまだ雪深かったのですが、
今回は急速に雪がなくなっていました。
古民家にもついに1階の玄関から入れるようになりました!
作品Cは、映像作品中に登場させますが、今回の主目的はその撮影でした。
そのため、展示空間の窓をふさぐ前に、明け方の光で撮影をすることに。
朝3時45分に起床し、4時過ぎには撮影を開始しました。
今回の撮影には、強力な助っ人に参加していただきました。
プロのカメラマンのSさんです。
景色と一緒に撮ったり、接近したり、上から覗いたりして、様々なアングルを試しました。
演出効果として、1階で線香を焚き、2階の展示空間へ煙を引き入れました。
O木さんが、梁に登って、作品を操作します。
うまく揺らすと、作品が波のように美しい揺らぎをつくりだしました。
映像の素材として、たいへん満足のいくものを撮ることが出来ました。
すっかり梁の上が気に入ってしまった(?)O木さん。
時折撮影の要望を出すイノマキさん。
そして凄腕カメラマンのSさん。
皆さん、有り難うございました!
妻有の春を少々紹介します。
雪解けの草原にはいたるところでツクシが顔を出していました。
ホント、あたり一面、つくしだらけでした。
4月1日、2日と現地に行ってきました。
雪は減っているかな?と期待しましたが、残念ながら数日前に雪が降り、先月とほとんど変わらない状態でした。
現場の古民家は相変わらず1階はすっぽり雪の中。
いつものように2階から入りました。
今回の主目的は、工務店発注工事の仕様を決めることでした。
2階の窓は、基本的にふさいで土壁にしますが、作品Cについては自然光で展示するため、
細いスリット状の窓を設けます。
今回は、スリットの幅を決めるため、実際に作品を現場で吊りました。
スリットの幅は10センチにしました。
たった10センチでも部屋の中は結構明るくなります。
作品C「空に放つ」は、1号テグスでつり下げていますが、角度によっては反射してしまいます。
ただ、遠目に見る限りはあまり気になりませんでした。
これは階段の登り口から見たところ。
2階にあがると、まずこれが目に入ります。
ちなみにこの写真は、繭を2列に吊ったもの。
この角度から見る分には、1列の場合とあまり変わりませんが、全体的にごちゃごちゃするので、1列の方がすっきりしていると感じました。
これからいよいよ古民家の工事も本格的にはじまります。
4月には工務店工事が始まります。
内装の仕上げや、1階休憩スペースのインテリアについては、できればGW頃に夜間工房のメンバーであたりたいと考えています。
養蚕に用いた奇妙な棒(写真)や、飴色に煤けた竹の束、各種民具など、面白そうなインテリア素材がいっぱいあります。
2,3日余裕をもって現地に行き、現場にあるモノを見て、考えながら施工できるといいのですが。
もちろん、土壁塗りもやってしまいます。
最後に土曜の晩の三日月を。
K邸上空に浮かぶ作品Cのイメージです。
作品Cは実際にはK邸の屋根裏部屋で繭をテグスでつないで展示しますが、映像作品においても「空に放たれた」姿で、蓬平の空に登場する予定です。
先週の妻有行きの際、たまたまイノマキさんの隣に居合わせた雪掘りボランティアの方が、腕のいいカメラマンの方で、これも何かの縁ということで、
この方にも映像作品の撮影をお手伝いいただけないかなあというような話になっています。
まだどうなるかは未定ですが、ぼくのイメージを伝えるためには、今までの企画書ではだめなので、今日、こんなかんじのイメージ図を描いてみました。
(写真のカラーコピーに絵の具で着彩)
こっちは、棚田の上空に浮かぶ作品C。
最近、手芸に凝っている妻のアドバイスでビーズ細工につかう「つぶし玉」を用いて、もう一度はじめからやり直すことにしました。
先週、注文していた最小のタイプ(1mm)が届いたのでようやく作業を再開しました。
結び目をつけて繭をとめる方式に比べ、この方が位置の狂いが少なくなります。
ただし、あまり力を入れすぎるとテグスが切れるので要注意です。
今日は、O-noli氏を家にお招きし、ジオラマ制作の打ち合わせもしました。
いよいよ3月からO-noli氏の作業場で制作が始まることになりそうです。
懸案となっていた「道」の表現ですが、支持体である発泡スチロールに溝を掘ってそこに真綿をおしこむことにしました。
(写真の右下のような感じになります。)